野口悦士
写真 伊藤徹也
野口さんの器を使っていると、湖に映る月や水紋など、静かな水のイメージがいつも浮かびます。
釉薬がかかっているものはまるで水を張っているかのよう、焼き締めの器は水をくぐらせると様々な色合いや表情が静かに浮きあがるのです。
水が滴っているような美しさは盛る料理を瑞々しく彩ってくれ、オカズデザインの食卓になくてはならない器となりました。
同じ作品でも、色や表情が大きく異なるのも野口さんの器の魅力の一つです。
展示を楽しむように一つ一つゆっくりと眺めていただけましたら、何より嬉しいです。
- 1975
- 埼玉県生まれ
- 1996
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大学在学中サーフィンにハマり、サーフボード工場でアルバイトを始める
これがきっかけで、手でものをつくる職人仕事に興味を持つ
この期間に目の当たりにした、水の上を滑走するサーフボードという物体の、ラインの美しさやキリッと立ったエッジ、美しいものに機能性があること、などに今も大きな影響を受け続けている - 1999
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しかしながら当時のサーフボードつくりの工程は、サーフィンのナチュラルなイメージとは裏腹に、世界大戦中の毒マスクさながらのケミカル対策が必要であったため、一生続けるべきかどうか悩み始める
たまたま見た本に種子島の野太いやきものを見つけ「あ、種子島ならサーフィンしながらやきもの、できんじゃね?」くらいの軽い気持ちで、種子島へ移住(実際そうはいかなかった) - 2000
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島でたまたま出会ったびっくりするほど良い方達のおかげで、どうにか陶器作りを学び始める
土を山に掘りに行き、木を切って薪を割って、穴窯で3〜4日焼く
そんな工程や環境が焼き物作りで普通のことだと思っていた 今考えると本当にラッキーだった
やるにつれ、基礎をつくりあげた唐津の陶芸家・中里隆氏から学びたいと思うようになり、弟子入り志願するもあっさり断られる - 2006
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最初のアプローチから数年を経て、ようやく中里隆氏に師事
唐津に住み込むのではなく、アメリカや種子島での助手として傍で学び始める
- 2016
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離婚を機に種子島を離れ、鹿児島へ移る
このタイミングをきっかけに、デンマークを訪ねる
以前から尊敬していたセラミックスタジオ・KH wurtz(コーホーヴューツ)に通い始める - 2018
- KH Wurtzに薪窯を提供する代わりに、多くのことを学ばさせていただく
- 2019
- 長崎・雲仙での縁をきっかけに、カモシカにて初個展「涼む」開催
- 2021
- カモシカにて二回目の個展「滴る」開催
- 2023
- カモシカにて三回目の個展「月の光」開催